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Sauna Report — Yokohama-cho

よこはま温泉
黄色い絨毯と青い湾——菜の花の里の湯

上北郡横浜町 / サウナ 87℃ / 水風呂 18℃ / 入浴料 550円

サウナ87℃
水風呂18℃
料金550円

FACILITY DATA

施設名よこはま温泉
所在地青森県上北郡横浜町
サウナ温度87℃
水風呂温度18℃
入浴料550円

「横浜」に来た、青森の横浜に

「横浜町に行ってきます」と盛岡の同僚に言うと、「え、神奈川の?」という顔をされた。いや、青森県の、上北郡の横浜町だ。陸奥湾に面した小さな町で、人口は約4,000人。横浜市の約3,700倍の面積差がある。名前が同じというだけで、その姿はまったく異なる。しかしこの「名前のギャップ」が旅を面白くする。

横浜町を訪れるのに最も適した季節は、間違いなく春だ。この町は日本一の菜の花の産地として知られており、四月から五月にかけて、町全体が鮮やかな黄色に染まる。丘の上から見下ろすと、黄色の絨毯の向こうに陸奥湾の青が広がり、その対岸には下北半島のシルエットがある。写真で見たことはあったが、実際に来てみると想像以上だった。

菜の花と陸奥湾——日本に残る原風景

横浜町が菜の花の産地になった理由は、土地の利用にある。転作作物として菜種の栽培が普及し、やがて景観としての価値が認められるようになった。農業と観光が結びついた形で、今では春の菜の花まつりに多くの人が訪れる。ただしそのほとんどは日帰りで、温泉に泊まっていく人は少ない。

だからこそ「よこはま温泉」の存在が際立つ。花畑を歩き回って疲れた足を、温泉でほぐす。陸奥湾を眺めながら、体の熱を冷ます。菜の花の黄色と湯の白い蒸気——それが横浜町の春の体験だ。観光ガイドにはあまり書かれていないが、花畑を歩いた後の温泉は、この土地の楽しみ方として最高の組み合わせだと思う。

私が訪れたのは花の季節が終わった秋だったが、それでもこの温泉の良さは十分に感じられた。むしろ観光客が少ない季節だからこそ、地元の人たちとの距離が縮まる。「今年の菜の花はよかったよ」と地元のおじさんが教えてくれた。「五月の頭が見頃だった。風もなくて、一面黄色だった」。その言葉を聞きながら、私は想像の中でその景色を見た。

陸奥湾の四季と地域の暮らし

横浜町は陸奥湾に直接面しており、湾の漁業とも関係が深い。ホタテやカキの養殖が盛んで、冬の低温は養殖業者にとっての恵みでもある。菜の花の季節が終わると、夏には緑の農地が広がり、秋には実りの風景になる。陸奥湾の色も季節によって変わる。春は淡い青緑、夏は深い青、秋は灰がかった青——その変化が毎年繰り返される。

温泉施設は、そういう季節の変化の中に溶け込んでいる。農業や漁業で疲れた体を癒す場として、変わらずそこにある。横浜町という小さな町において、よこはま温泉は単なる施設ではなく、コミュニティの拠点だ。農家と漁師と、時々来る観光客が、同じ湯につかる。そういう場所が地方には必要だ。

87℃のサウナ——春の野焼きのような熱

サウナ室に入ると、87℃の熱気が出迎えた。この温度は、私にとって「長く入れる快適な熱さ」だ。急いで汗をかく必要がなく、ゆっくりと体の内側から温まる時間を楽しめる。サウナ石の周囲から立ち上る対流を見ていると、春に野原で焚き火をしているときの空気に似た何かを感じた。農業の春——肥料を撒き、土を耕し、種を蒔く——そういう野外の労働の後に入るサウナは、この温度が合う。

二セット目に入ると、肩の力が抜けた。普段、私は体のどこかに力が入っていることが多い。仕事の緊張、移動の疲れ、あれこれ考える頭——そういうものが、87℃の熱の中でひとつひとつほどけていく。サウナとは究極のリラクゼーションではなく、体が本来の状態に戻るための時間だと、私は思っている。

18℃の水風呂——湾の春の水温

水風呂は18℃。春の陸奥湾の水温に近いかもしれない。しかし春の湾水はもう少し冷たいか——と考えながら肩まで沈む。18℃というのは「冷たい」と「気持ちいい」の境界線上の温度で、一度慣れると体中の神経が均一に静まる感覚がある。菜の花の季節に来れば、水風呂から出て外気を吸ったとき、菜の花の香りが漂ってくるだろうか——そんなことを想像した。

神奈川の横浜とはまったく異なる場所で

帰り道、「横浜町」という地名についてもう一度考えた。なぜこの町は「横浜」という名なのか——諸説あるが、古くからの地名だという。神奈川の横浜とは何の関係もなく、ただ偶然に同じ漢字が当たった。しかしその偶然が、訪れる人に一種の不思議な喜びを与える。「青森にも横浜があるんだ」という発見の喜び。そしてその横浜が、菜の花と陸奥湾という豊かな自然を持っていることへの感動。

よこはま温泉は、そういう「発見の喜び」の最後に訪れる場所だ。花畑を歩き、湾を眺め、体が疲れた頃に温泉で汗をかく。87℃の蒸気と18℃の水の往復が、旅の一日を完結させる。

黄色い菜の花と青い陸奥湾に挟まれた横浜町。87℃のサウナが、この豊かな景色を体の奥まで刻み込んでくれる。
橋本大治
橋本大治(はしもと だいじ)

盛岡市を拠点に、HARVIAサウナヒーターの販売・施工・コンサルティングを30年以上手がける。フィンランド・エストニア・リトアニアなど北欧・バルト諸国のサウナを定期的に視察。岩手・青森・秋田を中心に東北各地のサウナ施設を実際に訪れ、地元の空気を体で知っている。

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