FACILITY DATA
| 施設名 | 岩木温泉 |
|---|---|
| 所在地 | 青森県黒石市 |
| タイプ | 温泉・サウナ |
| 特徴 | 黒石市内の温泉施設。こみせ通りで知られる歴史的城下町に立地 |
| アクセス | 弘南鉄道黒石線黒石駅よりアクセス(詳細は公式情報をご確認ください) |
黒石市を歩くと、他の青森の町とは異なる空気を感じる。城下町の落ち着きと、雪国の知恵が積み重なった建築が残っているからだ。中でも「こみせ通り」は、この町を全国的に有名にしている。こみせとは、建物の一階部分が道路側に張り出した木製のアーケードのことで、雪の多い冬の黒石で、歩行者を雪や雨から守るために発達した独自の建築様式だ。
岩木温泉という名前は、青森県西部にそびえる津軽富士・岩木山(いわきさん)に由来するものだろう。標高1625メートルの岩木山は、弘前市や黒石市からよく見える独立峰で、津軽平野を見渡すその姿は、この地域の人々に深く愛されてきた。「津軽富士」と呼ばれる通り、その均整の取れた山容は美しく、晴れた日には遠くからも際立って見える。
こみせ建築という雪国の知恵
こみせ(小見世)は黒石市に独特の建築様式で、江戸時代に発展したとされる。商家の軒先を張り出して歩廊(アーケード)を作り、そこを歩行者が自由に通れるようにしたものだ。現在も黒石の中心部には江戸・明治時代のこみせが残っており、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。
私が木の仕事をする人間として、こみせの建築技術には深い関心がある。木を使って雪や雨から人々を守る構造物を作ること——これはサウナの木の壁が人を外気から守る原理と、どこか通じている。木は優れた断熱材でもあり、調湿材でもある。木が雪国の生活インフラとして機能してきた歴史は、サウナの木材選びにも影響を与えている。
こみせ通りを歩くとき、その木の柱が何十年、何百年という時間を支えてきた重みを感じる。使われた木の種類、大工の技術、その建物が見てきた人々の往来——木には時間が染み込んでいる。
「こみせの木の柱は、何世代もの人々が雪から逃れるために触れてきた。木はそういう人間の生活の記憶を宿す。」