YOMIMONO / 直す文化 REPAIR

直せる道具は、
家族になる。

文・有限会社D'STYLE|岩手・盛岡の薪ストーブとサウナの店

公開日:2024年6月22日 / 最終更新日:2026年8月1日

家電量販店で、こんな経験はありませんか。「修理するより、買い替えたほうが安いですよ」。今の時代、たいていの道具は、壊れたら終わりです。直すことを、はじめから想定していない設計。そんな時代に、薪ストーブとサウナヒーターは、めずらしい道具です。直せるのです。部品を替え、手を入れながら、三十年でも四十年でも使い続けられる。今日は、この「直して使う」という文化の、少し深いところまでお話しさせてください。

部品の集合体、という設計思想

バーモントキャスティングスやハースストーンの薪ストーブは、一体の箱ではなく、鋳物や石の部品を一枚ずつボルトで組み上げてつくられています。つまり、傷んだところだけを外して交換できる設計です。扉まわりのガスケット(ガラス繊維の密閉パッキン)は、数年で弾力を失うので張り替える。炉内の耐火れんがやバッフル板は、割れたら入れ替える。排ガスをきれいにする触媒(キャタリティックコンバスター)は、寿命が来たら新品に。人の体でいえば、健康診断を受けながら少しずつ手当てして長生きするようなものです。実際、二十年、三十年選手のストーブが、部品交換で現役を続けている例は、当店でもめずらしくありません。(修理か買い替えかの見極めは、こちら。)

サウナヒーターも、直しながら

ハルビアのサウナヒーターも、同じ思想です。電気式なら、発熱するヒーターエレメントは交換部品ですし、サウナストーンは年に一度ほどの積み替えと補充で、ロウリュのキレが蘇ります。石は火と水のあいだで少しずつ崩れていく消耗品です。積み替えるという手入れが、暮らしのリズムになる。世界じゅうで使われる大メーカーの製品は、古い機種でも部品の供給が長く続くのも心強いところです。温度センサーやコントローラーといった電気まわりも、故障すればその部分だけ載せ替えられる。まるごと買い替えずに、悪くなった一点を治せば、また何年も現役に戻る。道具の寿命は、壊れた日ではなく、部品と面倒を見る人がいなくなった日に尽きます。構造を知り尽くした店が近くにいること。それが、なによりの保険なのです。(石の積み替えの話は、こちら。)

直しながら使う道具は、家族になる

そして、これは損得だけの話ではありません。ガスケットを張り替えた春、石を積み替えた秋。手を入れるたびに、道具への愛着は静かに積み重なっていきます。子どもが生まれた年に設置したストーブが、その子の成人の冬にも、変わらず赤々と燃えている。天板の小さな焦げも、鋳肌のやわらかな変色も、その家が刻んできた歴史です。使い捨ての道具は、思い出を持てません。直しながら使う道具だけが、家族の時間といっしょに、ゆっくり年をとっていけるのです。当店にも、「亡くなった父が入れたストーブを、ガスケットだけ替えてまだ使っています」とご相談に来られる二代目の方がいます。手を入れながら受け継がれていく火は、家の物語そのものです。(鋳物を育てる話は、こちら。)

買った店が、直せる店であること

私たちが正規代理店であることに、これほどこだわる理由が、ここにあります。売るだけなら、誰にでもできます。でも、十年後にガスケットを張り替え、二十年後に純正部品を海外から取り寄せ、そのあいだずっと煙突を掃除し続けられるのは、正規のルートと技術を持つ店だけです。純正部品には適合の裏づけがあり、構造の図面も手元にある。安く手に入る道具はたくさんありますが、長く直し続けられる関係は、あとからお金で買い直すことができません。(メンテナンスの物語は、こちらも。)

一生ものを、一緒に

岩手・盛岡のD'STYLEは、ハースストーン、バーモントキャスティングス、ハルビアの正規代理店として、売った道具に、最後まで責任を持ちます。買い替えない道具と、切れない付き合い。一生ものを、一緒に選びませんか。

写真: Thomas Bresson (Wikimedia Commons, CC BY 3.0)

D'STYLE
橋本 大治(有限会社D'STYLE 代表)

住田町の山主だった祖父から三代、火と生きてきました。英国RODTECH社認定の煙突掃除 安全インストラクター(東北第一号)。盛岡・国道4号線沿いのショールームにいます。

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