八戸市の北部、北白山台という住宅地のはずれに、少し変わった施設がある。キャンプ場でありながらドッグランを備え、BBQやオープンカフェ、そしてテントサウナまで楽しめる複合アウトドア施設——HACHINOHE BASE CAMDOGだ。「キャンドッグ」という名が示すように、愛犬と一緒にアウトドアを楽しむことがここのコンセプトの核になっている。
盛岡を拠点にサウナヒーターの販売・施工を続けてきたD'STYLEとして、このような「キャンプ×サウナ×犬」という組み合わせが八戸市内に生まれたことは興味深い。都市型のサウナ施設が増えるなかで、屋外に薪を焚いてテントの中で汗をかくというプリミティブな体験への需要も確実に高まっている。それをペットとの時間と組み合わせたのが、この施設の個性だ。
八戸市北部・北白山台という立地
北白山台は八戸市の北部に位置する住宅地で、東北自動車道の八戸ICから車で約5分という立地にある。JR八戸駅からも車で10分程度と、交通のアクセスは良好だ。市街地から近いにもかかわらず、周囲には緑が残り、開放的な空気がある。
八戸市は岩手県との県境に近い太平洋側の都市で、漁港を擁する産業都市という顔を持つ一方、近年はアウトドアやクラフト文化への関心が高まっている。「種差海岸」や「蕪島」など自然の見どころを抱えるこの地域で、キャンプ場とドッグランとサウナを組み合わせた施設が生まれたのは、そうした流れと無縁ではない。
HACHINOHE BASE CAMDOGの公式サイトには「八戸市北白山台にキャンプも出来て、ドッグランも楽しめる広場が生まれました。BBQやオープンカフェ、アコースティックライブもいいかもしれない。使い方は自由自在。家族と、愛犬と、友達や会社の同僚と」という言葉がある。その自由な雰囲気が、施設全体に漂っている。
テントサウナレンタルというスタイル
HACHINOHE BASE CAMDOGのサウナは、常設のサウナ室ではなくテントサウナのレンタルという形式だ。薪ストーブを内部に設置したテント型のサウナが用意されており、利用者はそれを借り受けてキャンプサイトに設営し、薪をくべながら自分たちのペースで蒸気を作る。
テントサウナという体験は、銭湯や温浴施設のサウナとは本質的に異なる。自分で薪をくべ、自分でロウリュの量とタイミングを決め、テントの入り口を開け閉めしながら温度を調節する。その能動性が、テントサウナの最大の魅力だ。「管理された温度のサウナ室に入る」のではなく、「自分でサウナを作る」という体験だ。
薪が燃えるときの音——乾いた木がパチパチと爆ぜる音、炭が崩れる音——はテントの布越しに外の気温の音と混ざり合う。夜のキャンプ場では虫の声や草木の揺れる音が加わる。銭湯のサウナでは決して得られない音の環境が、テントサウナの中にはある。
薪を自分でくべ、石に水を注いで蒸気を作る。その一連の動作が、サウナという体験をまったく別のものにしてくれる。
水風呂と外気浴——キャンプ場ならではの整い方
テントサウナ利用時には水風呂の貸し出しもある(別料金 ¥1,000)。キャンプ場という屋外環境での水風呂は、サウナを出たあとすぐに外気に当たれる点でも有利だ。テントを出た瞬間から外気浴が始まるとも言える。
夜の八戸市北部の空気は季節を問わずひんやりとしている。夏でも夜になると気温が下がり、サウナを出た肌に涼しい空気が当たる感覚は気持ちよい。秋から冬にかけては外気がそのまま冷媒になり、サウナとの温度差が劇的に大きくなる。雪が降りしきる中でテントサウナに入るという体験を楽しむ人も少なくない。
キャンプ場の芝生の上に椅子を広げ、星空や焚き火の灯りを見ながら外気浴をする——これは都市型サウナ施設では絶対に体験できない種類の「整い」だ。自分で薪をくべて作った熱、冷たい夜気、そして満天の星。三つが揃ったときのととのいは、言葉では説明しきれないものがある。
愛犬と一緒に過ごすという特別さ
HACHINOHE BASE CAMDOGの「キャンドッグ」という名前が示すとおり、ここは犬と一緒に過ごせる施設だ。ドッグランを備えており、愛犬をリードなしで走らせながら、自分たちはサウナで汗をかくという使い方ができる。
通常のサウナ施設や温浴施設では、ペットを連れての入場は当然許可されていない。愛犬家にとっては、「サウナを楽しみたいが、犬をひとりにしたくない」というジレンマがある。そのジレンマをそのまま解消するのがこの施設のコンセプトだ。犬が走り回るドッグランを眺めながらサウナに入り、外気浴のときには犬を膝に乗せる——そんな光景が日常的に生まれている場所だ。
家族連れでキャンプを楽しむ場合も、子どもたちが芝生で遊んでいる傍らで大人がサウナを楽しむという時間の使い方ができる。テントサウナは水着着用で男女共用のため、家族やグループで一緒に入れる点も都市型施設との大きな違いだ。
アウトドアサウナ文化と北東北の文脈
テントサウナや屋外サウナへの関心は、北東北全体で高まっている。十和田湖のバレルサウナ(十和田サウナ)、岩手県内各地のプライベートサウナ施設など、「自然の中でサウナに入る」という体験を提供する場所が増えてきた。
フィンランドをはじめとする北欧では、サウナは本来、湖畔や森の中に建てられるものだった。都市のサウナ文化が発達した現代においても、夏になれば人々は湖畔のサウナ小屋に向かい、サウナから飛び込んで湖で泳ぎ、外気の中で涼む。その原始的な体験こそがサウナの本質だという考え方は、北欧の人々の間では今も生きている。
HACHINOHE BASE CAMDOGのテントサウナは、その文脈の上にある。体験者が能動的に関わる余地が大きく、自分たちで作り上げた時間という実感が残る。それがテントサウナの本質的な価値だ。
利用方法と注意事項
HACHINOHE BASE CAMDOGのサウナ利用は、宿泊者限定・事前予約制だ。テントサウナレンタルは¥4,500、水風呂の貸し出しは¥1,000で、これにキャンプサイト利用料が別途加わる。予約は公式ホームページまたはSNSで受け付けている。
営業は月・木・金・土・日曜の16:15〜24:00、火・水曜が定休日だ。夕方から始まるのは、日中の準備時間を確保するためと思われる。夜のキャンプ場でのサウナは、昼間とはまったく異なる雰囲気があり、夕暮れ後に薪に火を入れ、暗くなった空の下でサウナに入るという流れは、それ自体がひとつの体験として完結している。
駐車場はあり、アクセスは八戸ICから車で5分・JR八戸駅から車で10分と市街地からも近い。初めて利用する場合は、薪のくべ方や温度調節について、現地スタッフに確認しておくとよい。テントサウナは施設側が管理する設備と異なり、利用者自身が操作するため、安全な使い方を理解したうえで入ることが前提になる。
FACILITY DATA
| 施設名 | HACHINOHE BASE CAMDOG(ハチノヘ ベース キャンドッグ) |
|---|---|
| 施設タイプ | キャンプ場(テントサウナレンタル) |
| 住所 | 青森県八戸市北白山台2丁目13−2 |
| アクセス | JR八戸駅から車で約10分 / 八戸ICから車で約5分 |
| 駐車場 | あり |
| TEL | 070-8463-9109 |
| HP | https://hachinohe-base-camdog.com/ |
| 定休日 | 火曜日・水曜日 |
| 営業時間(サウナ) | 月・木・金・土・日 16:15〜24:00 |
| 料金 | キャンプ場利用料 + テントサウナレンタル¥4,500 + 水風呂貸出¥1,000(別途) |
| 利用制限 | 宿泊者限定・事前予約制 |
| サウナ | テントサウナ(薪ストーブ・対流式ストーン)/ TV無 / セルフロウリュ可 / 男女共用・水着着用 |
| 水風呂 | 水風呂貸出(別料金) |
| 外気浴 | キャンプサイト内・芝生(自由利用) |
| ドッグラン | あり |
| 支払い | 現金 |
| 予約 | HP・SNS参照 |
キャンプを楽しみ、犬と走り、BBQで肉を焼き、その流れの中でサウナもある——そういう場所だ。サウナが「目的」ではなく「過ごし方のひとつ」として組み込まれているところが、この施設の面白さだと思う。
八戸市内に用事があるとき、あるいは八戸から南下して岩手・盛岡方面に向かう途中で一泊するとき、薪を焚いて汗をかき、星空の下で犬と外気浴をする八戸の夜——それはなかなか得られない種類の体験だ。