FACILITY DATA / 施設情報
| 施設名 | 城東温泉 岩木天望の湯 |
|---|---|
| 住所 | 青森県弘前市城東中央4丁目 |
| アクセス | 弘前駅から車で約10分 |
| 営業時間 | 6:00〜23:00(最終受付22:30) |
| 定休日 | 年中無休 |
| 料金 | 大人500円前後(変動あり) |
| サウナ | 約90℃、乾式サウナ |
| 水風呂 | 約18℃ |
| 外気浴 | 露天スペース・ベンチあり |
| 温泉 | 天然温泉 |
| 支払い | 現金・一部電子マネー対応 |
弘前市の城東地区。弘前城から東へ車で10分ほど走ると、住宅街の中に城東温泉 岩木天望の湯がある。「岩木天望」という名が示すとおり、この施設の最大の売りは岩木山を望む立地だ。標高1625メートル、青森県で最も高い山であり、「津軽富士」の愛称で長年親しまれてきた岩木山。晴れた日には露天風呂から、その美しい円錐形のシルエットが視界いっぱいに広がる。
私・橋本大治がこの施設を初めて訪れたのは、弘前のサウナ施設を調べ回っていたある秋の日のことだ。弘前には桜が有名な弘前城があり、リンゴ農家が点在し、藩政時代の古い建物が今も残る城下町の雰囲気がある。その弘前で、地元の人たちが毎日通うような温泉施設を探していた。城東温泉は、そういう施設だった。
岩木山という存在
岩木山は津軽平野のほぼ中央にそびえる独立峰だ。平野が広いぶん、どこからでも見える。弘前市内を車で走っていると、交差点の先、建物の隙間、田んぼの向こうと、岩木山は何度もその姿を見せてくる。津軽に生まれた人間にとって、岩木山は「毎朝挨拶をする山」のような存在だと聞いた。
城東温泉の露天風呂からの眺めは、その岩木山との対話の場でもある。湯に浸かりながら仰ぐ1625メートルの山頂は、夏は緑、秋は紅葉、冬は白い雪をまとい、季節ごとに異なる表情を見せる。りんごの収穫が始まる10月ごろ、山の上部に初雪がうっすらとかかった岩木山を眺めながら露天風呂に浸かる——津軽の秋の贅沢を、この施設はひとつのかたちで体現している。
施設の構成と浴場
施設に入ると、広めのロビーと脱衣所が出迎える。弘前市の住宅地に立地するだけあり、日常使いしやすい価格設定と使い勝手になっている。地元のご年配の方々が多く、朝の開館早々から賑わっている。
浴場は内湯と露天に分かれている。内湯は広い主浴槽を中心に、ジェットバスや薬湯などのバリエーションがある。天然温泉を使用しており、弘前周辺の地下から湧く湯は肌触りがなめらかで、入ったあとにじんわりと温まりが続く感覚がある。弱アルカリ性の湯質は「美肌の湯」とも呼ばれる。洗い場には十分な数のカランが並んでおり、混雑時でも待つことが少ない。
露天風呂に出ると、視界が一気に広がる。岩木山が見える方向には遮るものが少なく、晴れた日には山頂まで見通せる。岩木山の雄姿を眺めながら体を温める時間は、「弘前に来てよかった」という感覚を素直に引き出してくれる。湯温は適温に保たれており、長湯しても体への負担が少ない。
サウナと水風呂
サウナ室は乾式で、温度は約90℃。適度な広さがあり、地元の常連客が静かに座って過ごしている。派手な演出はないが、温度管理が安定していて蒸され感が心地よい。サウナストーンには適度に熱が蓄えられており、じんわりと全身に熱が入ってくる。テレビが設置されており、ニュースを流している時間帯が多い。常連のおじさんたちが無言で画面を眺めている——そういうサウナだ。
水風呂は約18℃。青森の地下水を活かした冷たさで、サウナ後の体をしっかりと冷やしてくれる。水量が豊富で清潔感があり、入るたびに水が新鮮だという印象がある。広さも2〜3人が同時に入れるサイズで、回転も悪くない。
外気浴スペースは露天エリアと兼用で、ベンチに腰掛けながら岩木山方向を眺めることができる。風が気持ちよく通り抜ける季節には、水風呂から出た体に津軽の空気が触れていく感覚が格別だ。サウナ→水風呂→岩木山を見ながら外気浴——このサイクルが繰り返せる施設は、全国でも多くはない。
弘前とサウナ文化
弘前市は青森県の中でも比較的サウナ文化が根付いている地域だ。城下町として栄えた歴史もあり、商人や職人の町として銭湯・温泉文化が早くから発展した。現在も市内には複数の温泉・サウナ施設が点在しており、地元住民が日常的に利用している。
城東温泉は、その弘前のサウナ文化の中で「近所の人が毎日来る」という位置にある施設だ。観光客も訪れるが、利用者の中心は地域の人たちだ。朝早くから開いており、仕事前に一風呂浴びていく人、夕方に立ち寄る人、週末に家族で来る人——弘前の日常の中に自然に溶け込んでいる。
私がサウナを設計する仕事をしていると、「どんな場所でサウナをやりたいか」という問いを受けることが多い。自宅のサウナは自分だけの空間だが、こういう施設は地域のサウナだ。岩木山という唯一無二の景色と、地元の人たちが毎日使う生活感——城東温泉の価値は、その両方が同居していることにある。弘前に来たなら、ぜひ立ち寄ってみてほしい施設だ。
露天風呂から見る岩木山は、季節を問わず美しい。津軽に生きる人たちが毎日仰ぐ山を、湯の中から眺める時間は、旅の記憶に深く刻まれる。
施設の営業時間・料金・設備情報は変更になる場合があります。訪問前にご確認ください。