Sauna Guide — Kuji & Ninohe
久慈・二戸・北部のサウナ施設
久慈は琥珀の産地だ。地層から掘り出された数千万年前の樹液の化石——琥珀——は、久慈の特産品であり、市内に琥珀博物館もある。「あまちゃん」のロケ地としても全国区になったこの街は、三陸北部の中心都市でもある。南部藩の城下町・二戸は久慈から内陸に入った場所で、まき川や馬淵川に沿った盆地に位置する。岩手北部のこのエリアは、盛岡から3〜4時間という距離感にありながら、独自のサウナ文化を持っている。
久慈サウナ 男性専用
男性専用という一点だけで、「ここは本気だ」と伝わる施設がある。久慈サウナはそういう場所だ。温浴施設ではなく、サウナを核に設計された施設で、余計なものを削ぎ落とした設備構成に久慈の男性サウナーの意地を感じる。90℃・15℃というシンプルで真剣な設定。三陸北部の地下水は冷たく、その冷たさが水風呂に直結している。
久慈市内でこれだけの常連が積み重なってきたのは、地元の人が毎日使うからだ。漁業・林業・建設業で体を使う久慈の男性にとって、サウナは仕事後の儀式に近い。旅で来たサウナーと地元の常連が同じ空間を共有するとき、その場の空気はどこかよそ行きでない本物感がある。600円という料金は地域のための設定だ。
新山根温泉 べっぴんの湯
「べっぴん」という名前は、肌がべっぴん(美人)になるほど良質な温泉の湯質から来ている。久慈市の山側、山根地区の温泉銭湯で、久慈サウナとは対照的に男女で使える施設だ。90℃・16℃という設定で600円。久慈の山の空気の中で外気浴ができるのはサウナ専用施設にない良さだ。
山根地区は林業と農業の地域で、久慈市街とは異なる山里の落ち着きがある。三陸北部ドライブの途中、国道281号線沿いに位置しており、盛岡方面から久慈へ向かう際の立ち寄りポイントとして使いやすい。温泉は無色透明でさっぱりとした湯質、サウナ後の体にすっと馴染む。新山根という地名は「新しい山の根」で、この辺りの地形をよく表している。
おおの健康の湯
420円。岩手北部でこの料金で93℃のサウナと15℃の水風呂が使える施設がある。洋野町(旧大野村)は青森県境に接する山と森に囲まれた静かな地域だ。温浴施設の料金を地域の人間が使える水準に保っている。これが地方の公共施設の本来の意義だと思う。
女性水風呂が26℃というのは、冷水が苦手な女性に配慮した設定だ。男性の15℃と女性の26℃という差は大きいが、利用者の声に応えた結果だろう。青森県八戸市や三沢市から国道をまっすぐ南下すると洋野町に入る。「岩手に入ってすぐのサウナ」として、ドライブ客の立ち寄り先になることもある。三陸北部の注目施設だ。
カダルテラス金田一
「カダル」は南部弁で「一緒に」「連れ立って」という意味だ。二戸市の金田一温泉郷にある施設で、地名の「金田一」は「金田一耕助」で知られる探偵小説の作者・横溝正史が好んだ地名とも言われるが、ここは本物の温泉地だ。金田一温泉は古くから知られる泉質の良い温泉で、「天台の湯」とも呼ばれる。
水風呂は29℃。長く浸かりやすい温度帯で、じっくり体温を下げたい人に向いている。二戸は内陸で冬が厳しく、冷たい水風呂への心理的ハードルが高い地域性もある。体温を下げ、皮膚感覚をリセットする。外気浴は岩手北部の清々しい空気の中で、静かなととのいが訪れる。92℃・29℃・500円という設定に、金田一温泉の地域特性が出ている。
DATA NOTE
施設情報(温度・料金)はD'STYLEが実際に訪れた際の情報をもとにしています。温度・料金・営業時間は変更されることがありますので、最新情報は各施設の公式情報でご確認ください。情報は2026年10月時点のものです。
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