冗談のような問いに聞こえるかもしれない。サウナにエアコンは使えるか。答えはもちろん「使えない」だ。けれど、なぜ使えないのかを考えると、暖房というものの限界と、サウナヒーターが何をしているかが見えてくる。
エアコンの温度の壁
家庭用エアコンの暖房設定温度は、上限が30度。業務用でも40度が限界だ。これはエアコンの構造上の制約で、冷媒の温度には上限がある。コンプレッサーを壊さず安全に運転できる範囲が、この温度帯になる。
サウナに必要な温度は80度から100度。エアコンの上限の2倍から3倍だ。ヒートポンプの仕組みでは、この温度差を埋めることができない。
サウナヒーターは「焼く」
サウナヒーターのやっていることは、もっと単純で力技だ。電気ヒーターや薪の火で、サウナストーン(石)を直接300度から400度まで焼く。その石が部屋の空気を温め、壁と天井の木材が蓄熱して80度から100度の空間を維持する。
エアコンは「外の空気から熱を集めて、室内へ移す」。サウナヒーターは「電気や薪のエネルギーで、直接熱をつくる」。やっていることが根本的に違う。
エアコン暖房:20〜30℃(ヒートポンプ方式)
薪ストーブ:本体表面 200〜350℃ → 室温 20〜25℃(輻射熱)
サウナヒーター:ストーン表面 300〜400℃ → 室温 80〜100℃
エアコンとサウナヒーターの温度差:50〜70℃
「ロウリュ」がさらに温度を上げる
フィンランド式のサウナでは、熱したストーンに水をかける「ロウリュ」を行う。水が蒸発すると大量の蒸気が立ち、体感温度が一気に上がる。同じ80度でも、乾いた空気と蒸気を含んだ空気では、体が感じる熱がまったく違う。
エアコンは空気を乾燥させる暖房だ。蒸気を作ることはできない。サウナに必要な「熱い蒸気」は、真っ赤に焼けたストーンでしか作れない。
サウナヒーターにも種類がある
電気式のサウナヒーターは、家庭用で4.5kWから9kW。200Vの電源工事が必要になるが、スイッチを入れれば30分から50分で使える温度に達する。
薪サウナストーブは、薪を燃やしてストーンを加熱する。温まるまでに1時間から1時間半かかるが、火の揺らぎと薪の香りが加わる。フィンランドでは今でも薪サウナが主流だ。
どちらを選ぶかは、使い方の好みで決まる。ただ、エアコンでは代わりにならない。温度の桁が違う。
サウナと薪ストーブの共通点
サウナヒーターと薪ストーブには、エアコンにはない共通点がある。「輻射熱」だ。
サウナのストーンが放つ熱は、空気を介さず体に直接届く。薪ストーブの鋳鉄が放つ熱も同じだ。空気の温度だけでは説明できない暖かさ。暖房器具のスペック表に出てこない、体が感じ取る暖かさの質がそこにある。
エアコンは空気を温める道具としては優秀だが、輻射熱は出さない。体の芯まで届く暖かさは、火と石と鉄の仕事だ。
岩手・青森・秋田・山形・宮城の東北の冬に、自宅サウナという楽しみ方があります。エアコンの風とは別の世界の暖かさです。
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