YOMIMONO / サウナの文化

ロウリュとヴィヒタ。
フィンランドサウナの二つの道具

文・有限会社D'STYLE|岩手・盛岡の薪ストーブとサウナの店

公開日:2026年9月12日

フィンランドのサウナには、日本のサウナにはない独特の習慣と道具があります。「ロウリュ(löyly)」と「ヴィヒタ(vihta)」。この二つを知ると、フィンランド人にとってサウナがどういう場所なのかが少し見えてきます。

ロウリュとは何か

ロウリュはフィンランド語で、サウナストーン(サウナストーブの上に積まれた石)に水をかけて蒸気を発生させる行為、もしくはその蒸気そのものを指します。ひしゃくで水をすくって石の上に注ぐ。あの動作がロウリュです。

水が高温の石に触れると瞬間的に蒸発し、室内の湿度が急上昇します。この蒸気が体に当たることで、発汗が促される。ドライサウナは温度で汗をかかせ、ロウリュは温度と湿度の組み合わせで体を刺激します。フィンランドのサウナではロウリュを繰り返しながら、室内の環境を自分たちで調整していきます。

ロウリュという言葉はフィンランド語の中でも古い語彙に属し、かつては「蒸気」だけでなく「魂」や「精霊」を意味していたとも言われます。サウナが神聖な場所とされていた時代の名残です。薪で炉を焚いたとき、石が十分に熱されてはじめてロウリュができる。その瞬間が、フィンランドのサウナ体験の核心にあります。

ヴィヒタとは何か

ヴィヒタは、白樺(シラカンバ)の若い枝を束ねた道具です。ウィスクとも呼ばれます。フィンランドでは初夏の葉が柔らかい時期に枝を刈り取り、束にして乾燥させます。サウナに入るときにぬるま湯で戻してから使います。

使い方は、この白樺の束で体を軽く叩く、またはなでるようにすることです。白樺の葉から出るエキスが肌に触れ、独特の香りが広がります。白樺にはタンニン、フラボノイドなどの成分が含まれており、肌への刺激と香りの両方が楽しめる。フィンランド人はこれを「サウナに欠かせないもの」として捉えています。

ヴィヒタで体を叩く行為には、血行促進と発汗促進の効果があると言われます。また、白樺の爽やかな香りが室内に充満することで、サウナ全体の体験が変わります。ロウリュで蒸気が満ちたとき、ヴィヒタの香りが重なる。それがフィンランドのサウナの正式な形です。

フィンランド語では地域によって「ウィスク」とも呼ぶ

ヴィヒタ(vihta)はフィンランド西部での呼び名で、東部ではウィスク(vasta)と呼ばれます。同じ道具を地域によって別の言葉で呼ぶ。それだけフィンランドの中でサウナ文化が生活に根付いており、地域ごとに発展してきたことを示しています。

白樺以外にも、松やオークで作られたウィスクを使う地域もあります。白樺が最も一般的ですが、それぞれに香りと触感の違いがあり、好みで選ぶ人もいます。

日本のサウナとの違い

日本では「サウナ室に入って汗をかき、水風呂に入る」という流れが定着しています。ロウリュのある施設も増えていますが、セルフロウリュ(自分で水をかけられる)は多くない。ヴィヒタは日本の施設ではほとんど見かけません。

フィンランドのサウナは本来、自分でロウリュを調整しながら、ヴィヒタを使って体をケアする、能動的な体験です。何もしないで座って汗をかくのではなく、石に水をかけ、蒸気の中で葉の束を使う。その一つ一つの動作がサウナ体験を構成している。

当社が手がけるサウナ施工では、薪で焚くサウナストーブ(キウアス)を使い、ロウリュができる環境を作ります。本格的なフィンランドサウナを岩手に作りたいという方は、ご相談ください。

よくある質問

Q. ヴィヒタはどこで手に入りますか。
国内では乾燥ヴィヒタ(ドライヴィヒタ)が通販で購入できます。使う前にぬるま湯に浸してから使います。岩手の白樺を使って自作する方もいます。柔らかく若い枝の時期(6〜7月ごろ)に採取するのがポイントです。

Q. ロウリュに使う水に何か加えますか。
フィンランドではビールやタール(テルヴァ)を加えることもあります。日本では白樺水やアロマオイルを薄めたものを使う方もいます。ただし、ストーブのメーカーによっては水以外の使用を推奨していない場合があるため、機器の仕様を確認してください。

→ フィンランドのサウナ言葉についてはこちら
D'STYLE
橋本 大治(有限会社D'STYLE 代表)

岩手・盛岡でフィンランドサウナの施工を手がけています。ロウリュができる本格的なサウナ室について、お気軽にご相談ください。

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